軽自動車の現行の規格サイズ
1998年10月に改訂された現行の規格は次の通りになります。
・幅:1.48m以下
・全長:3.40m以下
・高さ:2.00m以下
・排気量:660cc以下
・定員 4名以下
・貨物積載量 350 kg以下
現行の規格では普通自動車と同じ安全衝突基準が採用されたことで、車両前部において衝突時に衝撃エネルギーを吸収するクラッシャブル構造を持つことが可能になり、軽自動車の安全性能がそれまでより格段に向上しています。その他にも、2000年には高速道路での最高速度制限が80km/hから100km/hとなっています。
軽自動車の規格変更の見直しと変遷
このように、軽自動車はエンジンの排気量、車体のサイズなどが決められていますが、この規格はこれまで数回に渡っての改変を重ね、上記のような新規格に変更されてきた変換の歴史があります。
黎明期1949年7月
・幅:1.00m以下
・全長:2.80m以下
・高さ:2.00m以下
・排気量4サイクル/2サイクル:150cc以下/100cc以下
1949年の車両規定の変更において初めて「軽自動車」という名称が用いられましたが、実際に製造された車種はありません。
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草創期 1950年7月 規格改定
・幅:1.30m以下
・全長:3.00m以下
・高さ:2.00m以下
・排気量:4サイクル/2サイクル300cc以下/1200cc以下
翌年に早くも改定されますが、やはり製造された車種はなかったようです。
普及前夜 1951年8月規格改定
またしても翌年に改訂。4サイクル車は360cc、2サイクル車は240ccとさらにエンジン排気量が増え、1952年に軽自動車運転免許を新設したことでオート3輪が数社から製造されています。
メーカー本格参入 1954年10月 軽規格改定
4サイクル車、2サイクル車とも360ccに統一され、スズキのスズライト、ダイハツのミゼットを始め、三菱やマツダといった大手メーカーからの量産車が登場。60年代に入ると三菱のミニカ、スズキのフロンテといった車種が続々と発売され、1967年ホンダのN360とT360が発売されるといよいよ本格的な普及が始まります。
1975年1月に現行の黄色のナンバープレートが制定され、事業用は黒色ナンバーとなりました。また、厳しい排出基準を課した昭和50年排出ガス規制が全ての軽自動車を対象となり、これまでの360ccでは対応できないとして、軽自動車の規格改訂が求められました。
1976年1月軽規格改定
・幅:1.40m以下
・全長:3.20m以下
・高さ:2.00m以下
・排気量: 550cc
排気量だけでなく車体サイズも拡大されたものの、規格改定より間がなかったことで、当初は新規車種の発売はすぐには行われず、バンパーの大型化のみで新規格サイズへ拡大されていました。その後の1979年にスズキのアルト、翌年にダイハツのミラが発売されています。
1990年1月 規格改定
・幅:1.40m以下
・全長:3.30m以下
・高さ:2.00m以下
・排気量: 660cc
排気量の増加がやはり排ガス規制のため。平成2年排出ガス規制が軽貨物車を対象に成立し、軽貨物車への規制強化も進んだことで、電子制御式燃料噴射装置の装備も増加していくととなります。1993年に スズキワゴンR、1995年にダイハツムーヴが発売され、軽ワゴンブームが始まります。
軽自動車の歴史と人気
軽自動車がここまで発展したのにはどのような理由があるのでしょうか。また、その背景には何があるのでしょうか?
日本独自で発展してきた理由・背景
現在、新車販売の4割近くを占める軽自動は日本独自の規格ですが、そもそもの発想は戦後の経済成長の一助となる事を目指し、国産自動車メーカーの育成と、国の国民車構想に基づいて設定されたものでした。その後、使いやすく低価格であること、車庫証明が不要とされるなど登録の簡易性や税制面での優遇によって広く普及することになります。そして、スズキ、ダイハツといった軽自動車を主要車種とするメーカーが競う合う事により、低燃費や走行性の技術が進み、トールタイプやSUVそしてオープンスポーツカーといった多彩な車種も生まれてことも、さらなる普及につながりました。また、長引く不況や消費税の増税なども、維持費の安い軽自動車の人気を後押ししていると考えられます。
数字から見る人気が爆発したターニングポイント
現在の乗用車の販売ランキングを見ると、3位までを軽自動車が占め、上位10車の内6台が軽自動車となっています。特にトップの N-BOXは、普通車(登録乗用車)首位のプリウスの倍以上の販売台数となります。1993年に軽自動車の常識をくつがえすワゴンRが登場して以降、軽自動車の販売は伸び続けていましたが、最近のように普通車を上回る人気と販売台数を記録し始めたのは2014年。2014年度の新車販売台数ベスト10では軽自動車が7車種を占め、新車販売全体での比率は41%となり、初めて4割を超えることになりました。
販売台数自体は前年度の方が台数自体は多いのですが、消費増税や高齢化の影響で、低価格とユーザーのダウンサイジング傾向が高まったことで、軽自動車は普通車よりも落ち込む幅が少なかったことで比率が高くなったのです。ちなみに、トップはアクア、フィット、プリウスを押さえたダイハツのタントで、登録車を含めた新車販売台数でNo.1を獲得したのは軽乗用車初となっています。その後もトップ10には常に6~7車種の軽自動車が名を連ね、2017年からはホンダのN-BOXが2年連続のトップとなっています
2014年度乗用車通称名別新車販売台数トップ10
1位 ダイハツ タント 234.456 台
2位 トヨタ アクア 233.209 台
3位 ホンダ フィット 202.838 台
4位 トヨタ プリウス 183.614 台
5位 ホンダ N-BOX 179.930 台
6位 スズキ ワゴンR 175.369 台
7位 日産 デイズ 169.244 台
8位 ホンダ N-WGN 146.717 台
9位 ダイハツ ミラ 142.506 台
10位 ダイハツ ムーヴ 138.048 台
参考:(全国軽自動車協会連合会)(日本自動車販売教会連合会)
軽自動車人気の盛り上がり
ワゴンRの登場でそれまで、セカンドカーや近場への移動にする手段としか見られなかった安いだけで狭い軽自動車という概念が崩れ、追随するムーブなどが小型の普通車よりも広くて長距離もこなせることが注目されました。そして、タントが子育て世代に大人気になると女性、特に若い女性が飛びつくこととなり、軽自動車人気に拍車がかかります。そして、各メーカーがしのぎを削る販売競争のおかげで、アルトエコやニライースといったハイブリッドの普通車をも上回る超低燃費車がさらに経済性を求めるユーザーに受け入れられます。
さらに、軽自動車が重要な車種になっていることを目の当たりにした ホンダがN-BOXで軽自動車に本腰を入れ、日産までもがデイズで参入することでさらに市場は盛り上がります。また、自ら軽自動車を生産しないメーカーも、OEM供給という手段でラインナップに加え始めました。トヨタでさえダイハツからOEM供給されるピクシスシリーズを並べるなど、国内の全メーカーが軽自動車を取り扱う事になりました。
現在の状況
それでもまだ、ユーザーには軽自動車の走行性能や乗り心地には不満があり、普通車に比べて安全面での不安は持っていました。そこに登場したのが第二世代の新型N-BOXでした。普通車でも自動ブレーキがせいぜいな時に、ホンダセンシングという安全装備を標準装備化し、走行性能や乗り心地も小型の普通車を凌ぐことで、普通車を買う必要がなくなるまで進化。さらに、日産のデイズが半自動運転技術のプロパイロットをし、新型タントは、渋滞時など全車速域で先行車を追従可能なクルーズコントロールや、縦列駐車も含む駐車支援も装備してきました。
ここまでくると、もはや一過性のブームではなく多くの選択肢がある国産車のなかでも、もっとも魅力のある車種だとされ爆発的な人気となるのも無理ありません。
目的と大きさでクラス分類された呼び名
https://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=10727
公的なものではなく雑誌の企画などでよくみられる
軽スーパーハイトールワゴン・軽スーパーハイトワゴン
・ホンダN-BOX
・スズキ スペーシア
・ダイハツ タント
・ダイハツ ウェイク
・日産 デイズルークス
・三菱 ekスペース
軽トールワゴン・軽ハイトワゴン(軽セミトールワゴン含む)
・ダイハツ ムーヴ
・ダイハツ キャスト
・スズキ ワゴンR
・ホンダN-WGN
・ホンダN-ONE
・日産デイズ
・三菱ekカスタム/ekワゴン
軽SUV&軽スペシャリティ
・スズキ ジムニー
・スズキ ハスラー
・ホンダ S660
・ダイハツ コペン
・ホンダ N-BOXスラッシュ
軽セダン
・ダイハツ ミラ/ミライース
・スズキ アルト/アルトラパン