残クレとは、車を購入するときに支払額100%分を分けて、先にローンを組む方法です。わかりやすく説明すると、100万円の車を50万円と50万円に分けて、先に50万円ローンを組むことで月々の支払額を抑えることができます。
また、残った50万円にはさまざまな返済方法が隠されているので、新車を購入しやすくなるシステムが残価設定型クレジット・ローン略して残クレです。
しかし、中には残クレよりも普通ローンを組んだ方がお得だったという意見もネット上には存在する一方で、残クレのおかげで車を買えた人や高評価の意見も数多く見受けられます。
軽自動車のローン選びで失敗しないために、残クレのメリット・デメリットや残クレに向いている人などを詳しく紹介していきます。
Contents
残クレのメリット・デメリット
残クレという方法は、車が欲しい人にとってメリットも大きいですが、利用する人によってはデメリットも存在します。
残クレで契約してしまった後で後悔しないためにも、車を購入する前にメリットとデメリットを理解していきましょう。
残クレ4つのメリット
車の購入を残クレで行うメリットは以下の4つです。
・月々の支払を低く設定できる
・乗り換えしやすい
・車を返せば残価をリセット
・選択肢が広がる
月々の支払を低く設定できる
新車の価格は非常に高いため、分割で支払うと生活に支障が出てしまうので諦めるしかない・・・と考える人も多く存在します。
このような悩みを抱えている場合は残クレが便利で、普通のローンに比べて毎月支払う金額を少なくできるというメリットがあります。
たとえば、200万円の新車は欲しいけれど毎月の支払額は3万円に抑えたい場合、50%の100万円を残価で設定し、残りの100万円を3年で設定すると1ヶ月28,000円程度です。
このように、残クレを活用すること手が出せなった車を買えるだけでなく、生活に支障のない範囲で支払えるというわけです。
残クレを使えば、たとえ頭金がない人でも新車を買うことができるため新車が購入しやすくなる点は大きなメリットだといえます。
乗り換えしやすい
2つ目のメリットは、残クレを利用することで車の乗り換えがしやすくなる点です。
例えば、新車を購入したが3年ほどで飽きてしまい違う車が欲しくなったが、ローンの残りがあるため完済までは仕方なく乗り続けるというケースはよく見られます。
車の車種によってはリセールバリューが高ければ買取金額でローン分を補填することも可能ですが、中には査定額が残りローンの半分にも満たないことはよくあること。
そのため、新車を分割で購入するとどうしても1台の車を手放しにくくなってしまうのです。
一方、残クレでは新車価格の50%や60%のローンを組むため、全額負担をする必要がなく、次の車も残クレ設定にすれば実質の負担額が減るメリットがあります。
たとえば、購入価格200万円の新車を残クレ設定で50%にした金額を3年で設定した場合、負担額は100万円で済むだけでなく、残りの100万円は車を返せば支払う必要はありませんし、次の新車も残クレで設定すれば通常よりも低価格で乗り換えができるのです。
つまり、普通のローンを組んだ人よりも残クレで設定した方が、気軽に乗り換えがしやすくなります。
車は高額の買い物だからこそ、1台の車に執着しない人はとくに乗り換えしやすい残クレの特徴を理解しておきましょう。
車を返せば残価をリセット
残クレでは、購入予定の車にかかる価値を算出して残価設定を行うことで残価と返却の仕組みを確立しています。
実は、車の価値は購入だけでなく、マイナーチェンジや車種の人気によっても大きく変わるため残クレは非常に安心なのです。
普通に車を購入しても売却時には、買った時の半額以下でしか売れないケースもあり、これは車の状態が素晴らしくても変わらないこともあります。
一方、残クレでは1回目のローン完済時の車の価値に関係なく車の返却で残価分をチャラにすることが可能です。
もちろん、各自動車販売店が設定する条件を満たした場合に限りますが、リセールバリューに左右されない設定方法は購入者にとって重宝するメリットです。
選択肢が広がる
1回目の残クレ設定したローンを完済すると、「買い取る方法」残価分を一括または分割で支払う、「手放す」車を販売店に返すことで残価分をチャラ、「新車に乗り換える」車を返して違う新車を残クレで購入する等の選択肢を選ぶことができます。
残クレで車を購入するだけで、少なくとも3種類からそれ以上の選択肢が生まれることになり、数年後の家庭事情は未知数なので選択肢を持てるということ自体が大きなメリットです。
車を所有することで支払う金額は、購入価格だけでなく維持費もかかってきますし、不具合が起きれば修理や交換もしなければなりません。
このようなリスクは、車の年式が経過するごとに頻度を増す傾向があるため、予定していた以上の出費を課せられる可能性もあります。
このような、不測の事態にも臨機応変に対応できるのが残クレの強みであり、上手く利用すれば1台にかかる費用を抑えることもできることが可能です。
たとえば、新車から年式3年目で1回目のローンを完済した場合、新しい新車に乗り換えると「旧車の車検費用を負担しなくていい」「車の不具合が起きにくい」「新しい機能を使える」等のプラス要素を得ることができます。
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残クレ4つのデメリット
続いて、残クレの気なる4つのデメリットは以下の通りです。
・残った残価の金利は高い
・条件を超えると追加料金が発生する
・所有者は販売店
・改造ができない
残った残価の金利は高い
多くの自動車販売店では、残クレで設定した1回目のローンでは低金利とされていますが、残価分を分割するローンの金利は高くなるケースが多い傾向にあります。
あるディーラーでは、残クレ設定した最初の数年の金利は0.99~4.9、分割払い0.99~5.8と残クレの方が低金利ですが、残価分は分割で支払うことになるため1台にかかるトータルの総支払額は割高になることが多くなることも。
たとえば、200万円の車を5年ローン・金利2%で分割払いの契約した場合、総支払額は「200万円+200万円×2%=204万円」となります。一方、200万円の車の支払額のうち100万円(金利1%)を残クレ、残りの100万円(金利5%)を分割にした場合、「(100万円+100万円×1%)+(100万円+100万円×5%)=206万円」となるのです。
つまり、残価分を含む総支払額でみると残クレの方が損をしてしまう可能性があるということです。
そのため、月々の支払額に目がくらみすぎて総支払額を軽視しないように注意しましょう。
条件を超えると追加料金が発生する
残クレの仕組みでは、車を返すことで残価分を清算できますが、設定された条件を超えると買取金額が下がったり追加費用を請求されます。
各ディーラーでの設定基準はまちまちですが、以下の項目が挙げられます。
・走行距離が異常に多い過走行
・傷や凹みの箇所が多い(ある規定ではA4サイズの傷が3箇所以上で追加料金の対象)
・事故を起こした場合(修復歴に該当する主要パーツの交換や修理が対象)
他にも細かな条件はありますが、いずれにしても査定額に直接関わる項目なので日々の運転では必要以上に神経を使わなければなりません。
追加費用がかかってしまうと、残価分の支払いで中古車を賄えてしまうこともあるため、車を自由に使うという点ではデメリットといえます。
所有者は販売店
残クレでは、購入というよりもリースに近い購入方法のため、車検証の名義も自動車販売店となります。
すべての残価分を清算すると名義変更は可能ですが、ローンを支払っている途中では自分の名義にすることはできません。
ここで困るケースが、売却時で車を手放すときは自分の名義でなければならない点で、途中で車が必要なくなった場合でも、自分で勝手に売却手続きを行うことができなくなってしまいます。
残クレでは、毎月の支払額が少ない代わりに支払う期間が長いため、同じ車に飽きてしまっても他社での買い替えを行えないのはデメリットです。
改造ができない
たとえ、1回目のローンを支払い終わったとしても残クレでは残価が残ることになります。つまり、あくまでも販売店側の車であるため、勝手に改造をしてしまうと、1回目の完済時に車を引き取ってくれない可能性があるということです。
仮に、車を返せたとしても買取金額は低く、残り分は自己負担となってしまうため、できるだけ純正の状態を維持しなければならず、自分好みの改造がしにくいデメリットがあります。
そのため、自由にカスタマイズをしたい人は最初から分割購入をした方が無難です。
・普通のローンと残価設定型ローンを比較!お得なのはどっち
普通に分割のローンを組むメリット・デメリットと残クレとの違いを徹底比較していきます。
自分のお財布事情を加味してローンの違いを理解し、自分に合った方はどちらなのかを明確にしていきましょう。
一般的な自動車ローンを組むメリット・デメリット
メリット
新車を一般的な自動車ローン(分割払いローン)で契約するメリットは以下の3つです。
・ローン完済期間が短い
・乗り換えの自由度が高い
・カスタマイズし放題
ローン完済期間が短い
一般的な自動車ローン(分割払いローン)を組む場合、「車の総支払額÷設定期間」となるため、ローンを完済する期間は短めになるケースが多いです。
たとえば、200万円の新車を3年ローンで組むと「200万円(金利含む)÷3年(36ヶ月)=55,000円」となり、月々の負担額は55,000円ですが3年で完済することができます。
基本的に普通のローンだとある程度の頭金が必要となるケースが多いため、ローン完済にかかる日数は短いことが特徴です。
乗り換えの自由度が高い
自動車ローンを組んで軽自動車を買うと名義は購入者なので売却も次に購入する車の販売店に指定はありません。
というのも、ローンを組む際、各金融機関や消費者金融会社が一旦、自動車販売店の支払額を建て替える状態となるため、ローンを組んだ時点で自動車販売店との関係はもうないのです。
車を買った後は、ローンを契約した会社へ返済する仕組みとなるため、名義がローン契約をした会社でない限り、自分の好きなタイミングで乗り換えをすることができます。
ただし、車の売却や乗り換えはあくまでもローンの完済が必要となるため、ローン契約=売却や乗り換えが自由と勘違いしないように注意しましょう。
とはいえ、残クレよりも車の売買ができる会社の範囲が広がることには変わりはありませんので、さまざまなメーカーの車に乗りたい人には分割の方がメリットは高いといえます。
カスタマイズし放題
残クレでは、車の大部分を改造してしまうと残価に響く制限があるため、自由度は低めですが分割ローンだとカスタマイズはし放題です。
やはり、自分の所有物なのでステッカーを貼ったり車高を低くしたりと色々自分好みにしたい気持ちもよくわかります。
純正の車だと個性が出にくいことで不満に感じる人もいるため、完全に自分の所有物にできる分割ローンの方がカスタマイズのバリエーションは豊富です。
デメリット
新車を一般的な自動車ローン(分割払いローン)で契約するメリットは以下の3つです。
・負担額が大きい
・審査が厳しめ
・査定額の影響を受けやすい
負担額が大きい
一般的な自動車ローン(分割払いローン)は、新車価格の総額を設定期間で割るローンの組み方なので、1カ月単位の負担額は高くなりやすくなります。
車の車種によっても変わりますが、一般的に新車だと100万円を超えるケースが多いため3年ローンだと毎月5万円の負担はみておかなければなりません。
また、自動車税や車検などの費用が加わる月もあるため、家賃や光熱費など生活への支障がでやすいことはデメリットだといえます。
そのため、分割払いで車を購入する場合は、車の価格だけでなく維持費も含めて検討しましょう。
審査が厳しめ
一般的な自動車ローンは車の金額を一旦ローン会社に負担してもらうため、しっかりと返済できるかを審査されます。
ローンを依頼する会社の信頼度を上げるためにはある程度の頭金が必要で、頭金なし=お金を持っていない人と判断されるため、審査に影響が出るようです。
残クレでは頭金なしでもローン契約が可能ですが、分割ローンでは審査自体が厳しめとなることを理解しておきましょう。
査定額の影響を受けやすい
一般的な自動車ローンでは、自分の車を自由にカスタマイズできることもあり、査定額に影響が出やすい特徴があります。
車の売却では、改造車よりも純正に近い車の方が査定額は優遇されますし、メンテナンスをしっかりと行っていた方が買取業者からの印象もよい傾向にあります。
しかし、普通のローンでは、購入した販売店からメンテナンスを促されることもありませんし改造を妨げる人もいないため、売却時にはすべてが自分に返ってきます。
残クレとは違い「車をぶつけたら残価に響く」という心配がない反面、売却時に減額査定されやすい状態であることを理解しておかなければなりません。
残価設定型ローンと一般的な自動車ローンの比較
残クレと一般的な自動車ローンを組んだ場合のメリットとデメリットを見てみると、大きく異なる点は多々あることが分かります。
ここでは、2種類のローンの組み方の違いを理解しましょう。
項目 | 残クレ | 自動車ローン(分割払いローン) |
車の買いやすさ | 〇 | × |
完済の早さ | × | 〇 |
総額の金利 | △ | △ |
価値の保証 | 〇 | △ |
カスタマイズの自由度 | × | 〇 |
生活への影響が少ない | 〇 | △ |
ざっくりと残クレと分割ローンの違いを比較して見ましたが、購入する人の環境や思いによってローンの組み方も変わってくるといえます。
そのため、上記の比較を見ながら自分が残クレに向いているのか、普通のローンに向いているのかを判断することが大切です。
残クレには向き不向きがある!損をしないための診断方法
ここでは、残クレに向いている人と向いていない人を特徴別に分けていきます。
もし、新車の購入でローン選びに迷っている人は以下を参考にしてみましょう。
残クレに向いている人
・月々の支払をできるだけ少額に設定したい人
・飽き性などの理由で新車を定期的に乗り換えたい人
・ライフスタイルに合わせて車を変えたい人
・維持費(車検代・修理代)などの費用を節約したい人
・車を改造することに必要性を感じていない人
残クレに不向きの人
・車のカスタマイズ(改造)を重視したい人
・金銭的に余裕がある人
・傷や凹み、喫煙などに気を使って運転したくない人
・事故を起こした経験がある人
・1年間のうち車を多く利用する機会が多い人
お得に軽自動車のローンを組みたい人は残クレにも注目しておこう!
軽自動車の購入でローン選びに迷っている人は、残クレのメリットとデメリットをよく把握した上で、自分に向いているかをよく確認しましょう。
目先の支払額のみで残クレを選んでしまうと、とにかくお得に軽自動車を購入したい人にとっては、総額の金利で損をする恐れもあります。
そのため、「軽自動車を何の目的で購入するのか」を明確にして自分に合ったローンの組み方を選ぶことが大切です。
もし、自分が残クレに向いていると感じる場合は、残価をチャラにできる条件をよく理解した上で契約してみてはいかがでしょうか。